たとえば夫が、

羽田空港でお菓子を買ってきてくれたとします。

そうすると、普段は食べないおやつが舞い込むわけですから、

やはりなんとも楽しいものです。

一方で、

小袋だったり、包装紙だったり、小箱だったりの始末、

これは、意外と悩ましいものです。

ずいぶんと簡易包装が普及してきていますが、

そうはいっても、

デパートで買ったものや贈答品はいろいろな紙に包まれています。

そういうわけで我が家の納戸には、紙類が、結構な量しまい込まれています。

ビーバーの巣みたいに、

紙袋や包装紙が詰まっています。

もちろん、

引き出しの底に敷いたり、

本のカバーにしたりと、

もう一度役立てる工夫はしますし、

実際、

「あー、とっておいてよかったぁ！」と思うことだって、稀にはあります。

それに、

リサイクルとかそういう視点も持ってはいますが、

なんといっても、物凄くかわいいと思うのです、『虎屋』の紙袋とか。

包装紙の〝虎〟の文字もイケてるし、

漆黒の紙袋に描かれたゴールドの虎だって、えらいチャーミングです。

心奪われるデザイン。

いつ見ても、うっとりします。

で、捨てられない。

『六花亭』の包装紙も文句なしかわいい！

カステラの『福砂屋』の黄色い包み紙も、

いかにもおいしそうだし、歴史絵巻のようで、好き。

まあ、大きいサイズのカステラを買うこともいただくこともなかなかないので、

『福砂屋』の包装紙の在庫はいまはないのですけれども。

いずれにせよ、

こうして包装紙も紙袋も、畳んで保管。

保管、保管、保管。

さて、では保管した美しい紙袋や包装紙の使い道はといえば、

これもまたそう単純な話しではないような気がしています。

包装紙は、引き出しの底に敷いたりもしますけれども、

そうそう、取り換えるものではありませんし。

紙袋は、

誰かになにかをお返しする際に使おうと思い

貯め込んだそれをガサゴソ探るも、

あんがい悩ましかったりもします。

というのも、

『虎屋』の紙袋にお借りしたタッパーをひとつ入れてお渡しする、

というのはやはり、

どうかと思われるから。

『虎屋』の羊羹や最中などが好きな方ならば、

『虎屋』の袋を目にすれば条件反射的に、

『虎屋』の味が口中に蘇るというものではありませんか。

そうすると、

あんなに素敵な紙袋ですけれども、

世界一のがっかり紙袋になってしまうわけです、

中身がタッパーひとつ、では。

いな、ほかのお菓子を添えたとしても……。

誤解がないように書いておきますが、

私は、包装紙や紙袋からは、

お商売に奮闘する人々の知恵が香り、

それは作ることや美しいを追究する人間らしく、

自由で、素敵なこと、だと思っています。

無駄、とは思いません。

さて、こちらの紙袋はひとつ、

たしか、150円でした。

先日、妹に連れられて那覇にある『松尾芭商』という名前の食品店へ。

沢庵とか唐揚げとかお菓子とかを買い物籠に入れて、いざお会計をとレジへ。

この日はエコバッグを持っていなかったものですから、

レジでビニール袋を買おうと思いましたら、

購入できるのが、この、新聞紙で作られた袋でした。

新聞で、沖縄の地元紙。

就労支援施設にお願いして作ってもらっている、とのこと。

しっかりとマチもあります。

持ち手も、やさしい造りです。

この袋に、

沢庵やらお惣菜やらを詰めて帰る帰路は、

銭湯帰りのように、いい気分でした。

親しい方への、

ちょっとしたお礼に用意したお菓子などをこの紙袋に入れお渡してするのは、

楽しいなぁと。

なお、沢庵は我が家の女子高生のリクエストで買いました。

娘が沢庵好きだということ、

私は、この日知りました。

あー、驚いた。

おしまい