髪を結う。


2019年7月14日、
国選定保存技術「結髪(沖縄伝統芸能)」保持者で、
小波流琉球きからじ結家元の小波則夫(こなみのりお)氏が、
お亡くなりになられました。
1930年のお生まれ。
89歳でいらっしゃいました。


お目にかからせていただいたのは、
2016年の1月、
このブログにご紹介させていただいた写真の日、
一日だけなのですが、
小波先生のやわらかな物腰、
そして、
写真のなかの美しい手指とその肌、
そしてそこから生まれる形の美しさが、
私は、
忘れられません。


一度のご縁のわたしですらこのように強い印象を自分のなかにとどめているのですから、
深いご縁を重ねられてきた皆さま方の寂しさはいかばかりかと。


ご縁をいただいたことに、
深く深く御礼申しあげます。


このときの経験がなければ、
気づくことができなかったであろう大切なことが、
ありました。


この日、
気付かせていただいたことは、
きっといつか、
文字で、伝えさせていただきます。


本当に、
ありがとうございました。


ありがとうございました。


◆      ◆     ◆
(☟下記ブログを記した日* 2016年1月20日。19時58分)



ジーファーのなにかを追い求める日々のなかで、
ご縁をいただき、
ついに、ついに、
琉球の、
首里士族のご婦人の結い方に、
髪を結い上げていただく機を得ました。

しかもかねてより、
着付けたときの感覚を感じてみたいと思っていた、
うしんち、

と呼ばれる沖縄式の方法で着物をきさせていただきました。
和装にもちいる幅の広い帯を使わない、
上衣を帯でしめない着方なのです。

琉球式に髪を結い上げ、
うしんちで着付けると、
後頭部の髪の流れと、
着物の布の流れがシンクロし、
目にも風を感じ、
実際のところ涼しいと聴き、
ジーファーに、
沖縄の銀細工に魅せられ取材を重ねてきた以上、
一度は琉球の髪型と、
琉球の着こなしとをしてみたいものだと思っていたのです。

ただ、
四十二歳という年齡がこういうときなかなかにジャマをするもので、
気恥ずかしさを覚え踏み出せずにいたし、
それともうひとつ、
もしもこういう機会を得るとするのならば、
いまのような大規模な観光的視点が幅を利かせる前の姿を再現してみたいと願っていて、
ゆえに、
思うままに何年も過ぎてしまったのです。

そうしてついに先週末、
この願いがかなったのです、
すばらしい形で。

ありがたいことです。

髪を結ってくださったのは、
国選定保存技術「結髪(沖縄伝統芸能)」保持者の小波則夫先生。
昭和五年のお生まれとのこと。

恐れ多いことです。
本当にありがたいことです。



髪を結う。_d0136804_17122394.jpg






髪にはたっぷりと椿油をなじませます。
それはもうたっぷりと贅沢に。

わたしの髪はいま、
腰のあたり、
お尻のあたりまで伸びていて長さもわりとあるのですが、
くわえて私は髪の毛の量がかなり多い方でもあるのですが、
それでも、
結い上げるためには髪が足りないので、

入髪(いりがん)と呼ばれる髪を足します。




髪を結う。_d0136804_17134913.jpg







全部ご紹介すると長くなるので、
途中は省略します。

簪は、
「金細工またよし」のジーファー(女性用)を貸していただき、
さしていただきました。




髪を結う。_d0136804_17254887.jpg






琉球の士族階級の婦人の髪型に結い上げていただいたのですが、
左右対称ではないのです。

どの角度からみても表情がある、
それが琉球の髪の結い上げ方なのだそうです。

その、美しい流れを丁寧につくりだします。




髪を結う。_d0136804_1730043.jpg






右の後ろがぺたりと左側へと倒れているのが、
おわかりいただけますでしょうか。






髪を結う。_d0136804_17341011.jpg






結っていただく時間は、
心地いい時間でもありました。

一箇所だけ、
紐で結わえるのですが、
これはもう本当に驚きだったのですが、
痛くないのです。

わたしはてっきり、
もっとギュッときつく結わえるものと思っていたのですが、
頭がとても軽やかなのです。

結うことによりテンションがかかるのは、
わずかにおでこの生え際の中央あたりだけ。




髪を結う。_d0136804_1736085.jpg






それからこれは、
こうして撮らせていただいた写真を拝見していて気がついたことなのですが、
先生の指先がとてもきれいなのです。

爪のこの美しさ・・・。

椿油に触れ続けていらっしゃるからでしょうか・・・。






髪を結う。_d0136804_17363446.jpg






さて。

このブログをご覧になってくださっている皆さま方とは、
もう長いおつきあいなので、
大胆に、
わたしの写真を載せてしまいますね。

なかなかのべっぴんさんですね。
ぷぷぷ。




髪を結う。_d0136804_1819441.jpg






・・・。

上からみると、
こんな風。





髪を結う。_d0136804_1747632.jpg






右後ろから見ると・・・。






髪を結う。_d0136804_17501048.jpg





左後ろから見ると・・・。
ふっくらとしています。





髪を結う。_d0136804_17511514.jpg






最後は勇気を振り絞って、
守礼門の前にて。
那覇市民につき、
ここで写真撮るのはなんだか気恥ずかしいのですが・・・。




髪を結う。_d0136804_18153347.jpg






もうこうなってきたらなんだってできちゃいます。






髪を結う。_d0136804_1815528.jpg





なお琉球婦人の髪型といっても、
さまざまな形があります。
地域によっても、身分によっても。
時代によっても、いろいろあることでしょう。

今回こうしてご紹介したのは、
首里の士族のご婦人の髪型です。

奥深いのです。


後半の自分写真は恥ずかしいのでちゃかしましたが、
こうして髪を結っていただき、着付けていただき、
外を歩いてみて、
心底感銘をうけました。

南の島である沖縄には、
やはり太い帯でしめる和装ではなくこの着方がふさわしい。

そして琉球の髪型とは本来、
こんなにも風を感じる軽やかな結い方だったのです。

コテコテに固めた、
がっちがちの髪型ではないのです。

沖縄の風をまとう。

それが沖縄の着こなしであり、髪型でした。
心底美しいと思いました。


やはり結ってみなければわからぬことがありました。

そして、うしんち姿にもしていただき、
これもまたこうして着てみなければわからぬことがありました。


本当に、ありがとうございました・・・。


★こののち、
 髪を切りました。
 そのときのことはこちらに。
   ↓
 ヘアードネーション
 http://nutigusui.exblog.jp/22843008/






〈 2003年の拙著、絶賛発売中(笑)♪〉

拙著『島を旅する』(発行・南方新社)の、宣伝です。

この本には、20代後半に、
日本の島々を旅した日々を記しています。

いまさらですが先日読み返してみて、
この日々に、
暮らすこと、生きることを、
教えてもらったのだなと。

お手にとっていただけると、とてもうれしいです。











by dokoshima | 2019-07-21 13:49 | ジーファーとクガニゼークの取材に歩く | Comments(13)
Commented by miyabine at 2016-01-20 21:59
素敵な経験をされましたね〜。
その素晴らしさを、ちゃんと理解されているからでしょうか。
とてもお美しく。たいへんよくできました。^ ^
Commented at 2016-01-21 06:53
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by at 2016-01-21 20:18 x
へー綺麗
見とれてしまいました。
Commented by dokoshima at 2016-01-22 08:50
miyabineさま:ありがとうございます。この装い、思い切って挑戦してみよかったです。気がついたことがいっぱいでした♪
Commented by dokoshima at 2016-01-22 08:51
鍵コメさま : うっふん♪
Commented by dokoshima at 2016-01-22 08:51
く様:ありがとうございます♪♪♪
Commented by Fだ at 2016-01-22 19:29 x
お似合いです。本当に驚くほど。
Commented by dokoshima at 2016-01-22 21:16
Fださま:おっ♪ もしやこのハンドルネームということは(笑)。お言葉、素直に頂戴いたします♪ ちなみに夫くんには、やっぱり顔は沖縄顔じゃないよな~、といわれました。・・・・・・そりゃ、そうですよね。
Commented by とむ at 2018-05-13 22:38 x
初めまして、こんにちは。私も今髪を伸ばしていてその理由は琉球の髪型に結ってみたい、結ってもらう現場を見てみたい、そしてヘアドネーションすることです。今回いろんな角度からの写真見られて嬉しかったです、今村さんの姿もとても美しいですし色白の肌が紫色と相まって似合っていました。言われて気づきましたが先生の手や手つきも本当に綺麗ですね。
実際されたからこその写真や感想を聞けてとても参考になりました、ありがとうございました。

Commented by dokoshima at 2018-05-15 08:41
とむ様:はじめまして。こんにちは。コメント、とてもうれしく拝読。興味をお持ちの方の手元に、この日のブログが届いてよかったな、と。髪を、伸ばしていらっしゃるとのこと。納得のいくところまで伸びたら、ぜひ結い上げてみてくださいね。本当に、あのときの、結い上げたときの軽やかさには、心底、驚かされました。ああ、これが琉球の髪型なのだ、と。そして最後にもう一度、コメント、ありがとうございました。うれしかったです。
Commented by リンリン at 2018-05-22 22:07 x
素敵ですね。
私が思っていた沖縄の女性のヘアスタイルとは違っていました。
思っていたよりもっと繊細で髪の流れが美しいです。
激しく動くと崩れてしまいそうな、繊細さを感じました。
とても素敵な経験をなさいましたね。
Commented by dokoshima at 2018-05-25 19:27
リンリンさま:こんにちは。そうですね。たしかに、繊細でした。髪の流れには、しかと意思もありました。いま、NHKの大河ドラマで奄美が舞台になっていますね。髪型、興味深くみています。
Commented by くみ at 2019-07-22 13:14 x
まさに一期一会とはこのことですね。一度お会いしただけでも心に深く残る思い出、素晴らしい方に出会われましたね。ステキな髪形を見せていただいて私もご冥福をお祈りします。


今村治華(いまむらはるか)の 那覇暮らし、いろいろ。


by いまむらはるか

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

画像一覧

カテゴリ

全体
プロフィール+お知らせ
ジーファーとクガニゼークの取材に歩く
つくりびと+つかいびと
しまくとぅば
* * * * * * *
《 沖縄、島、旅のこと。 》
那覇暮らしな日々のこと
旅する * 沖縄歴史探訪な感じ
旅する * うろうろ沖縄本島
食べる * いろいろ
旅する * 沖縄の島

沖縄で体験ツアー
食べる * 沖縄そばメモ
食べる * 沖縄ぶらんち
うちなーで胃袋世界一周
台風とか、天体とか
* * * * * * *
旅する * 県外
旅する * 海外
* * * * * * *
草木と、ベランダ。
音楽、映像、映画、ブログとか
情報いろいろ
* * * * * * *
ときたま娘本
ときたま大人本
* * * * * * *
《 母さんな日々 》
家庭内行事 & 季節のごはん
ぎこぎこバイオリン
11歳+12歳+13歳の日々
10歳の日々
9歳の日々。
8歳の日々
7歳の日々
6歳の日々
5歳の日々
4歳の日々
3歳の日々
2歳の日々
1歳の日々
0歳。沖縄編(09年4月5日~)
0歳。大阪編(~09年4月4日)
妊婦な時間(~08年9月22日)
楽しく、空旅&風景&機内販売。
助手席の車窓から
大阪暮らし(08年元旦~)
ゴーヤー日記2008夏
夫のパスタ。
JTAの機内販売特集ページで出会った世界
中学入試の振り返り

タグ

ライフログ


沖縄離島の島あそび島ごはん (Seishun Style Book)


島を旅する

最新のコメント

くみ様:カンスケ、かわい..
by dokoshima at 15:34
お2人+カンちゃんもいま..
by くみ at 18:17
くみ様 * とても嬉しく..
by dokoshima at 09:39
今まではるかさんの本はで..
by くみ at 23:40

以前の記事

2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月

ブログジャンル

沖縄諸島
旅行家・冒険家