カテゴリ:ときたま大人本( 16 )

遠藤周作ウィーク。

本棚の片隅にまとめ置かれていた、
遠藤周作の本たち。
読んだのは、
もう随分前だけど、、、。
母から、
もういらん、と渡された本もまじってるはず。



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で、手にとり、読んだ三冊。

「王の挽歌」上巻と下巻、
「沈黙」。



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豊後のキリシタン大名、
大友宗麟を軸にした小説と、
キリシタン禁制厳しき日本にやってきた司祭を通じて背教、神などを問う小説。
苦しみと問いかけの連続。
、、、疲れる。

あらたに読むのではなく、
ずーーーーーっと読んでなかった本を読み返すのも、なかなか、いろいろ、刺激的。

もうちょっと、
本棚をほじくってみよっと、、。




by dokoshima | 2016-09-09 14:48 | ときたま大人本 | Comments(0)

苦手な私にも作れる、作る気になれるお菓子本。


パラパラパラっとめくって、
作る気になれるお菓子作りの本は、
わたしにとって貴重です。


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クリームチーズの、ケーキ。
焼かずに、
ゼラチンさんをいれてかためるだけ。
少し前に作ってみた、、、。


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レシピ通りだと、
わたしには甘めだったので、
気がむいて次回作るときは、
砂糖を加減するつもり。
下地は、買ったカステラ。


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普通のカステラがなかったので、
アンダキーとかムーチーとかが並ぶコーナーにあった黒糖カステラで。
まあ、あわないことはなかったなと。







by dokoshima | 2016-05-21 14:42 | ときたま大人本 | Comments(4)

「ソフィアの白いばら」 * 著・八百坂洋子


昨晩、
22時頃にぱらぱらっと開いたとこから、
一気に読み終えてしまいました。

ずいぶん前に買って、
枕元に置き続けていたのですが、
突如、読めてしまう不思議。




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すばらしかった・・・。

税別1600円の福音館書店からでている本なのですが、
こういう本って、
本として残っていく意味のある本なのだろうなと。

きっと、
もう一度読むと思うな、私。

若さ、歳を重ねること、
伝承、詩、
多民族、国境、文化の衝突、言語、戦争、
美しい風景、
これらが多層になって奏でられているような本で、
参ったな、と。

すばらしかった。

音楽みたいな本。
by dokoshima | 2015-12-06 11:51 | ときたま大人本 | Comments(0)

「東洋文庫260 苗族民話集 中国の口承文芸2」

「東洋文庫260 苗(ミャオ)族民話集 中国の口承文芸2」
村松一弥 編訳
平凡社

手元のこの本には、
昭和49年10月11日 初版第1刷発行、とあります。
定価950円、と記されていますが、
いまは絶版なのかな・・・。

でも古書でたくさんでていますから、入手は可能。





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布張り。




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しおりもついています。
本を、大事にしていた時代。
いいな~、こうゆうの。



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表紙には、凹凸でアンモナイトみたいな巻貝の模様がはいっていたりも。
ロマンチック。
だいたい、深緑に金だなんて、好みだわ~~~。

と、見かけのことはさておき、
そもそもなぜこの本を手にしたかといえば、
ライフワークの銀細工を考える流れから・・・。
今年の4月、
北ベトナムの山奥へ行ったのは記憶に新しいところではあるのですが、
帰国後、
もごもごもごもご見たこと、思ったことを文字にするなかで、
この本を手にしたのです。
というのも、これだけ銀細工が身近な方たちなのですから、
旅の最中には聴くことがかなわなかったけれども、
きっとなにか銀にまつわる伝承があるにちがいない、と。


というわけで、
一番上の写真には、
モン族の首飾りが写りこんでいる次第。



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この本は、共同翻訳本。


中国民間文芸研究会主編、
貴州省民間文学工作組編『苗族民間故事選』(人民文学出版社、一九六二年、北京)を、
編者でもある松村氏のまわりに集まった、
中国民間文学に心そそぐ十一名とともに訳したもの、なのだそう。


この一冊に、
54もの民話がおさめられています。


昔も昔、
ずんと昔からはじまる「洪水、天に迫る」は、
雷と、
その兄弟分のアペ・コペンという名の男が登場する民話で、
ニワトリぎらいの雷に、これをだまし食べさせるところからはじまります。
この出だしだけでも、愉快。


「ホーイ、すてきなおにいさーん。どちらへいらっしゃるのお」という娘の言葉からはじまる「仙術の腕くらべ」。


タイトルからして刺激的な「中国の王子とベトナムの姫」。


「刺しゅう小町」というお話しのラストは、
娘が縫い、
自身の血で染めた竜が怒り暴れ、
そうして娘を救い、
天に昇るというドラマチックな展開。
最後には、虹の由来も語られます。


もちろんすべてではないけれど、
なかには、好みでないお話しもありはするのですが、
5歳の娘と41歳の母さんが、
読み、聴き、胸躍らせ楽しんだ一冊。
生き生きとした民話たちが詰まっている宝箱のような本でした。


いきいきしているんだな~、お話しが。


それに展開が、
まあ、ドラマチック。
こちらがわの想像をひらりさらりとかわし、
話しがすすむのです。
この感じが、「アラビアン・ナイト」に似ている気もするけれど、
やっぱりちがって、
地理的だったり三次元的にもてのひらサイズなのだけれども、
想像をとびこえちゃうみたいな自由さが心地よく。


なお、
本書末尾にある松村氏による解説によれば、
「・・・苗(筆者注・つまりミャオ族であり、モン族)は、古来、文字を持たず、すべての伝承を口で伝えてきたので、現在にいたるまで、かれらの間には秀れた語り部が数多く存在しており、ミャオ族民話は、中国における口承文芸として、もっとも精彩を放つもののひとつだからでもある。」とあります。


この書に収められている、
我が民族の歩んできた道のりが詰まっているお話しを、
古老が、
子どもらに語り聞かせているその様を想像すると、
聞き入る子どもたちの海のような深く黒い瞳の輝きが思い浮かび、
どきどきせずにはいられません。


いいな~~と。


そうゆう光景に、身を置いてみたいものだとも思う。
それと、こうゆうお話し会、やりたいな~~とも。
その土地ならではの建物で。
もしくは、焚き火のまわりで。
夜空のしたで。


くわえていまのわたしにとって胸躍るのは、
本書のなかの民話のうち、銀や簪が登場する話しが、なんと13もでてくること。


でも、まあ、このまま今度はこの銀トークをはじめると、
長~~~~~~~くなってしまいますので、
ここでは、
ここまでといたします。




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ああ、いいな~、こうゆうの。



過日、
娘が通っている園で、
子どもたちにお話しをしてくださっている方のお話しをききにいきました。


素話(すわ)、というのだそうです。
本をもたずに、本の言葉をそのまま語ることを。
知りませんでした。
ふきが、園にはいってから知りました。
で、子どもらはこうゆう場をしばしば持っているのです。
でも、わたしはこうゆうの、記憶にないな~と。


で、この大人向けの場がある、とのことで、
この前の日曜日に、行くことができました。


そうしてお話し会のさいごに、
園でお世話になっている方が語り始めたのですが、
透明なのです、
その気配が。
ふだん、園でおめにかかっているときとは、まったく異なる透明感。
うつくしい、と思いました。


まだ、
このできごとをわたしは、消化していないのですが、
ここに、書いちゃいました。
メモ、ということで。
ブログの楽しさ。


語り伝えるということ。


語りよろこばせるということ。


語りを文字にしてしまうということ。


文字を書き、文章を書くということ。


絵本につくるということ。


絵本をひらく、
お話しをきく、
文字をよむわくわく。


うーーーーーん、たのしいな。


そうだな。


週末にでも、
ろうそくをともして、
「アラビアン・ナイト」を読もうかな。
ああ、でも、わたしの視力を思うと、よかないな・・・。
by dokoshima | 2014-12-03 06:18 | ときたま大人本 | Comments(2)

布張り+しおり

最近、
いいなと思う本。

布張りで、
しおり付きの本。


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触れてて、
気持ちいい。

本を大事にしていた時代かな。

いいな。




by dokoshima | 2014-09-19 12:15 | ときたま大人本 | Comments(0)

「NATURAL FASHION」 ハンス・シルヴェスター


一応、
脳みそはエブリデー、ジーファー。

とりあえずブログ的には、
ときたま大人本に分類したものの、
子どもとも一緒に見ています。


以下、この本にたどり着くまでの思考。


ジーファー(沖縄の、女性の本簪)

  ↓

女性が装うということ

  ↓

北ベトナムの山旅

  ↓

娘が園でやった という“ 泥んこ人間ごっこ ” + 娘のコスプレ的布遊び

  ↓

世界各地の皆さま方のファッションBOOK検索

  ↓

「NATURAL FASHION」
著  者・ハンス・シルヴェスター
発行元・DU BOOKS



↓ 表紙

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↓ 裏表紙


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完敗です。

そんな気分。

パリコレとか、
おもしろいファッション写真をみるのは好きだけれども、
ああ、惨敗だわと。

なんという美意識。

やらせ、などではなく、
彼らの日々のなかの一枚なのだそう。

エチオピアのムルシ族とスルマ族。

この本の冒頭には、
写真を撮ったハンス・シルヴェスター氏の言葉があります。
彼らは数年前まで鏡を知らなかったこと。
それから遊牧民であること。
これらの装いを時間をかけることなく仕上げること。

などが記されています。

装うこと、を考える日々のなかで出会った一冊。

衝撃的でした。

わたしももう少し、
装うことを、考えて暮らそうかな・・・。

というか、
もっともっと、子ども時代を謳歌して、
自然とたわむれてくれ、と、
娘の子ども時代を思う。

物語りも、絵も、装うことも、
自然界にまさる土台はないなと。

ああ、こんな言葉も、
陳腐だわ。
by dokoshima | 2014-07-10 08:54 | ときたま大人本 | Comments(6)

英国婦人 イザベラ・バードさんの、紀行文

紀行文はおもしろい!


イザベラ・バードの朝鮮紀行
英国婦人の見た李朝末期

著:イザベラ・バード
訳:時岡敬子
発行:講談社学術文庫




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旅したとき1894年。
イザベラ・バード62歳!!!

イザベラ・バードは日本を旅してもいているのですが、
この紀行文もまた、
上から目線であったりすることもなく、
とても大変だった旅であるはずなのに、
先の文とおなじくさっぱりしていて、
すがすがしくて。



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日本奥地紀行
著:イザベラ・バード
訳:高梨健吉
発行:平凡社



旅したのは、
1878年(明治11年)47歳のとき。

表紙のご婦人が、このイザベラ・バードさん。

ああ、いま知りました。

この本の旅のおりは、
まだこの年齢だったのですね。
ご主人も生きてらっしゃるとき。

巻末の訳者の高梨氏による解説をみると、
〈バードは、1894年から1896年までに、五回ほど日本を訪れている〉とあります。
5回も!

前にもどこかにこう書いたけれど、
イザベラ・バードさんに、
琉球を旅して欲しかったな~。
本当に残念。
by dokoshima | 2013-05-23 06:35 | ときたま大人本 | Comments(4)

山田實が見た戦後沖縄 * 写真展とともに

11月4日まで、
沖縄県立博物館・美術館で、
「山田實展 人と時の往来」
が開催されています。

で、観てきました。

雑誌のクレジットなどでお名前を拝見したことがある方で、
気になっていたところ、
先日取材でお話しをうかがった方から、
「きっと興味をおもちになると思うからご覧になってみてください」と電話をいただき。

沖縄の、
すっごく粒子の細かい埃までも匂いたつ、そうゆう写真、のように感じました。

撮り手の思いは、写るもの。

写真もまた、怖いものだなと思うのです。



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館内のショップで、
この本を購入。


「山田實が見た戦後沖縄」
琉球新報社編
定価1695円(税別)



はじめに、のページに、
【この本は、琉球新報文化面に2010年1月20日から
2011年3月23日まで掲載された連載「山田實が見た戦後沖縄」(35回)を
一冊にまとめたものです。】(掲載文は漢数字)と、記されています。

山田實氏は、大正生まれとのことです。

本書には、
シベリア抑留での出来事も、
言葉に残してくださっています。

そうしてその言葉を読んでいくと、
沖縄や戦争を語られる言葉たちの落ち着きと、
飾りのなさに、
やさしさをおぼえずにはいられないのです。

けっして声高ではない言葉たちが、
胸にささるといえばいいのか、響くといえばいいのか。

写真展とあわせて、
この本もお手にとられてみてください。

以下、この本の最後のページ(P252)からの抜粋です。




 振り返ると、昭和の時代は戦争、戦争の連続。まるで呪われた時代だった。指導者次第で国はがらっと変わってしまう。どうしてこんなに苦しまなければならなかったのか、今になって怒りがこみ上げてくる。いまさら恨んだってしょうがないが、大勢の人間が殺され、何十万人という人がシベリアに抑留され苦しみ、多くの人が死んでいった。私が生還できたのは奇跡だと思う。いくつかの偶然が重なってここまで生きてこられた。おかげで、たくさんの方々に出会い、たくさんのことを見ることができた。
by dokoshima | 2012-10-30 11:51 | ときたま大人本 | Comments(0)

かがり火

旅に出るなら、
「かがり火」を忘れずに
持っていきなさい。
生涯忘れられない、
すばらしい人たちとの
出会いが待っている。
“人生は楽しき集い”


表紙には、
小さな文字で、こう記されています。


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「かがり火」(年6回発行)は、
素敵な雑誌。

まず、発行人の菅原歓一氏が素敵。
とはいえ、
2度くらいしかお会いしたことはないのですが。

「島を旅する」を書いている頃だったか、
「島へ。」という隔月刊誌にだしてもらった文章を読んでくださり、
なにか感じてくださったようで、
お声をかけてもらい。
物凄くうれしかったことを、鮮明に覚えています。
で、足立倫行が著した「日本海のイカ」を読んでご覧といわれ、
読んだりしたな~と。

ところで「かがり火」は、
本当に凄い読み物で、
なにが凄いって、
過日取材されたときに取材してくださった方がお話ししてくださった内容によれば、
じつは一度ツブレタのだけれど、
愛読者たちが、
この雑誌はツブレテハナラヌノダと一致団結して、
再生させてしまった、ということ。
これって、
そんな簡単な話しではなかったろうと思うのです。

相当に、
支える側の思いが深くなければおこりえない話しなのではないかなと。

あ。

どんな雑誌か書き忘れていました。

地域が元気になる雑誌です。

わたしは前号での、
《沖縄の生命力 ~日本の将来は“沖縄”が握っている~》という特集に、
子育て中の母ちゃんのひとり、としてインタビューにお答えさせていただいています。

ちなみに誌面では、
大分生まれになっていますが、
私は東京生まれなのですが・・・。

まあ、そんなことは些細なことだからいいとして。

そうしてこの取材をとおして、
考え、辿りついた、
私が思う、沖縄での子育ての魅力は、
ここには子供たちに伝えたいこと、
受け継いでくれたらと思うことがたくさんあること、だということ。

私の場合は、ですけれども。

とにもかくにも、
「かがり火」という雑誌があるということをご紹介したく、
今日は書かせていただきました。

なお、
取材してくださったのは、
以前は「島へ。」の編集に携わっていらした方。
この方も、
モノカキな私を大事にしてくださった方のおひとり。


そしてもうひとつ。


「美ら島物語」の編集部経由で、
こちらのサイトを運営していらっしゃる方から、
メールが届きました。

トマトジュースが気になります。
が、沖縄への送料が高く、注文には至らず。
これは、沖縄県に暮らす、
違うな、沖縄のみならず日本の島嶼部に暮らす人たちがネットショッピングでの買い物の際に、
しばしばぶつかる壁。
仕方がないのですが・・・。

で、沖縄にも、
こんな素敵なトマトジュースがあったらいいな~と。


「おやじ屋」
http://www.oyajiya.net/



日本って、
素敵だなと思うのです。
by dokoshima | 2011-09-20 10:46 | ときたま大人本 | Comments(2)

「琉日戦争 一六〇九」


もうずーーーと前のことになるのですが、
琉大で受講していた公開授業「琉球史概論Ⅰ」のレポート課題のひとつが、
高良教授から提示された10冊の本のなかから1冊を選び、
その本について記す、というものでした。

このときに私が選んだ本が、
「琉日戦争 一六〇九」
(著:上里隆史/発行:ボーダーインク/定価:本体2,500円+税)
でした。

定価を払う価値のある、一冊。
そう思っています。
近々もう一回読むつもり。
そしたら3度目。
沖縄の歴史と向き合いたい方はぜひ。

というわけで、
そのときのレポートを、
自分へのメモも兼ねて、こちらに貼り付けます。

長いですが・・・。


↓ 以下。


琉球史概論Ⅰ レポート課題 第1回        
公開授業受講生 今村治華

~選んだ本~
上里隆志
『「琉日戦争 一六〇九 島津氏の琉球侵攻』
ボーダーインク

(1)本書の主な内容
1609年(万暦37、慶長14)の島津軍による琉球侵攻を、著者は、島津氏や琉球の人物たちは当然として、これに関わるあらゆる立場の人々、たとえば倭寇や商人、それから明朝や明の人々、日本の政権や各大名、それらあまたの個々の立場に身を起きつつ、冷静に、彼らの盛衰や行動の理由を紹介することで、歴史の大きなうねりのなかで、かの事件を描ききっている。
まず主人公の、琉球王国。<14世紀、那覇が外来の民間勢力により自然発生的に港湾都市になったこと>と<超大国・明朝の成立>が起爆剤になり生まれた独立国家・琉球が、後期倭寇の活躍や銀をめぐる海域アジアの交易ブームのなかで、対外貿易を衰退させていく様子や、同時に琉球王国内の中央集権体制や軍備が整えられていく姿を紹介。島津軍による琉球侵攻のそのときのみならず、前後の琉球をも、丁寧に伝える。
 次に、島津氏。琉球王国が対外貿易の最盛期を迎え、尚巴志により統一された同じとき、島津氏は自領すら満足に掌握できるような状態にはなく、とても琉球へと行動を起こす余力などない状態であったことを、まず紹介。屈強な島津氏というイメージを覆してみせる。そしてここから約40年のうちに島津氏が、九州全域に覇権を及ぼすまでの急激な成長をみせ、この変化のなかで島津氏からの琉球への接触の姿勢が変化する様子と事情を描く。
 また本書には、倭寇をはじめとする海域アジアを自在に動きまわる民間勢力や、倭寇に拉致され日本や琉球で生きた人々や彼らによる秀吉の動きの通報、逆に明からのスパイの動きであったり、各権力者を結ぶ禅宗ネットワークなどの、多彩な人々が登場。
本書は、島津軍による琉球侵攻が、さまざまな人々や政権の思惑が絡みあい作用するなかで起きたのだということ、そしてその後を生き抜く琉球の姿をも描いている。                                         

(2)本書で特に強調されている主題
 強い薩摩島津軍がわずか3000の兵で、武器を持たぬ独立国家・琉球を侵攻した。本書で強調されている主題は、このなんとなく流布しているイメージをくつがえす、島津氏の実情と、琉球王国の軍備についてだ。
まず島津氏だが、島津氏は初めから強かったわけではなく、また九州の覇者となったときにおいてさえも、島津氏の琉球に対する対応には、島津氏側の事情が常にあったのだということが、随所で紹介されている。

 たとえば、領国内の支配を安定化させつつあった島津氏は、琉球に、印判状制度を提案してくる。この制度を行う狙いは当初は、領国支配の安定だったが、ある時期からは敵対する大名や地域勢力を琉球貿易から締めだし九州での自らの優位な立場を固めることと、変化する。島津氏もまた自領を守るのに必死だった、ということ。また豊臣政権時には、朝鮮侵攻における数々の失態で、島津氏が豊臣政権からの改易の恐怖におびえていたことを記す。薩摩はもうこれ以上、琉球問題で失点を重ねるわけにはいかなかったのだと。続く徳川政権においては、徳川政権が島津氏の琉球権益を侵しつつあるなか、琉球出兵が提起されたことを紹介。同時に琉球侵攻は、島津氏の財政難を打開するための領土拡大戦争の色があったことも記す。

 つまり著者は、九州の覇者となったときでさえ島津氏の言葉や行動は、アジア征服の妄想を抱く豊臣秀吉と、対明講和を狙う徳川家康という、明への強い関心を抱くふたりの強大な存在の意志が反映されているものであり、また自領を守るがための動きであったということを読者に気づかせる。

 また琉球にしても、王国存続のためには、朝貢関係にある明との関係を維持せねばならず、そのための冊封を成立させるためには日本への経済依存を深めざるえなかったことを、事例を示しつつ記している。
次に、琉球王国内の軍備についてだが、島津氏や豊臣徳川両政権や倭寇などと対峙する琉球は、ときには情報操作による駆け引きを試みてみたり、また17世紀初頭には、港湾部の警備隊という性格を超えた外征能力をもった「軍隊」が機能していたりと、諸所の出来事に計画的かつ積極的に対峙してきたことを紹介している。琉球は、決して武器を捨てたりすることなく、軍隊として機能する数千人規模の王府組織や、数百挺単位での火器兵器を保有し(ただし、室町期の装備並みであるとしたうえで)、これらをもって島津軍侵攻に立ち向かったことを示す。そして同時に、尚寧は、決して島津軍への無条件降伏を考え、抵抗の意志がなかったわけではない、とも記す。

 本書の終わりにおいて著者は、「近世という時代、琉球は制約された状況のなかにあったが、決して薩摩の「奴隷」状態に置かれていたわけではないのである。(P339)」と記す。この文章そのものは近世琉球について述べているが、著者が本書で強調し、伝えたかったこと、それは、古琉球から近世にいたるまで琉球は、時の流れに身をまかせていたのではなく、常に、押し寄せてくる外との関わりのなかで己の在り方を模索し続け、前を向きことに挑んできた、ということなのだと思う。


(3)感想と批評
 まず感想ですが、正直なところ、著者が全身全霊に臨んだであろう気迫あふれる濃厚な内容を前に、一文一文と格闘しながら読み、ぐったり疲れ、同時にどこを切り取っても内容が濃く、読み終えたあとには、重厚な長編歴史映画を観たような、まるで沖縄のある時代を歩いて旅してきたような、充足感を覚えた。年表がついていると、もっと気軽に楽しめたかなとも。それから随所に登場する禅宗ネットワークの人々の思惑のようなものも読みたかった。以上が感想。

 で、評させていただくと本書は、視野の広い著者の冷静で公平、丁寧かつ慎重にあろうとする、歴史家としての真摯な姿勢が随所にみえ、不安になることなく素直な心持で読むことができる本、と思う。著者のこの姿勢は、たとえば1609年の島津軍の琉球侵攻を、《(前略)この事件は軍事力によって他の独立国家を征服した「侵略」「侵攻」であることは明白であり、現在の研究ではそのように認知されている。私もそうした認識を支持する。(P13)》とし、《ただ、もうひとつ事件の性格を付け加えるならば、それは琉球と日本(徳川全国政権に編入されていた島津氏)の軍事組織が衝突した「戦争」であった点である。「征伐」か「侵略」かを論ずる前に、そもそもこれは「戦争」であったことを忘れてはいけないように思う。(P13)》と記していることに、端的に現れていると思う。ほかにも島津軍に侵攻されたのちの琉球を描く第6章(3)では、鹿児島に囚われていた謝名親方が明の朝廷へ琉球支援を訴える「反感の書」を作成したくだりで《琉球を救援するための書が琉球人によってにぎり潰される》と書き、さらには島津侵攻軍の大将・樺山久高の家では、《尚寧王を樺山家の「うち神」として祀り代々その霊をとむらっていた》とも記す。

 この著者の、島津侵攻という出来事を、俯瞰しつつ、それぞれの立場に身を起きながら思考する態度が、本書を濃いながらも涼やかな読み物にしている。
最後に、この著者は、いったいどれだけの努力を重ねてきたのだろうかと、ただただ敬服しつつ、本を閉じたことを記しておきたい。
by dokoshima | 2011-09-17 16:41 | ときたま大人本 | Comments(3)


今村治華(いまむらはるか)の 那覇暮らし、いろいろ。


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